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【高校サッカー】3年生の背中

高校サッカー 2021/10/26
秋晴れが広がった日曜、全国高校サッカー選手権大会の富山県大会3回戦8試合が行われ、わたしは3回戦屈指の好カードである富山工業と富山北部の一戦を観に行きました。


「苦しい展開になるのは予想していた」と富山工業の岡部裕太監督が試合後に語ったようにゲームはまさに激闘となりました。


夏の県高校総体でベスト4の強豪・富山工業は前半13分、セットプレーから先制点を奪います。左サイドで得たFKを⑩前田暖人が正確で鋭いクロスを蹴りこみ、③井上愛翔が頭で合わせてネットを揺らします。

また後半10分にも、⑥馬場淳史が蹴ったCKを長身DF⑮柿崎英人が打点の高いヘディングを決めて追加点。

選手たちも相当自信を持っているというセットプレーから立て続けに得点を奪い、主導権を握ります。


このまま富山工業が最後まで試合を優位に進めるかと思いましたが、ここから富山北部が怒涛の追い上げを見せます。

富山工業の得点からわずか3分後、2年生FW⑨小林司がスピードあるドリブル突破でサイドを一人で打開。折り返したボールを最後は⑧金田拓也が押し込み、点差を縮めます。

勢いそのままに10分後には⑩土佐拓未のFKから、先ほど素晴らしい個人技をみせた⑨小林が力強いヘディングを決めて同点弾。


あっという間に試合を振り出しに戻した富山北部がその後もチャンスを作りますが、追加点を奪うことはできず、勝負は延長戦に突入します。

20分間の延長戦に入っても、互いに激しく球際でぶつかり合い、両チーム何人も足を攣る選手が出るような消耗戦が続きました。

それでも延長前半、富山工業⑩前田からパスを受けたSB④井澤柊太が左足の正確なクロスをファーサイドに動き出していた⑦本橋遊が頭で押し込み、見事な勝ち越し点。


どちらが勝ってもおかしくない好ゲームでしたが、勝利の女神は富山工業に微笑みました。


激闘の末、敗れてしまった富山北部高校ですが、今大会の登録メンバー30人のうち3年生は4人のみ。スターティングメンバーに1、2年生が多く名を連ねる若いチームです。



昨年度から富山北部高校では、県立高校の再編により水橋高校との統合が始まっていて、それに伴い、もともと水橋高校に設けられていた「体育コース」も富山北部高校に設けられ、いまの1、2年生のメンバーの多くは体育コースに所属しています。

そんな後輩たちとともに、チームの核として最後まで戦い抜いた3年生の中澤拓士、松原徹平、太田峻介、土佐拓未の4人について藤澤昌史総監督は「とにかく真っすぐで良い子たち」と話します。

試合後には「勝ち負けに勝負はつきもの。ひとつの勝ち負けで君たちの日ごろの生き様の価値が決められるものではない。いまの3年生は、君たちらしい誠実で真摯な姿勢でチームを導いてくれた。自信をもって堂々とこれからの人生を歩んでほしい」と激励の言葉を送りました。

また若い力はベンチにも。この試合、ピッチのそばで選手たちに大声で指示を送っていたのがこの春から教壇に立つ福島成監督です。

藤澤総監督の富山中部高校時代の教え子であり、学生時代には東京学芸大学蹴球部でプレー。
ことし夏の総体後のタイミングでそのバトンを引き継ぎ、監督に就任しました。

ピッチの内外で若い力が加わり、新たな時代を牽引する予感をさせる富山北部高校サッカー部。キャプテンを務める④松原徹平は「強い相手に対して、良い試合はできたけど本当に勝ちたかった。来年は絶対に勝ってほしい」と涙ながらに後輩たちへ思いを託しました。

同じピッチに立ち、逞しい3年生の背中を見てきた後輩たちはその言葉通り、更なる成長を遂げて選手権の舞台に戻ってくるでしょう。


新しくデザインされたエンブレムには水橋高校サッカー部「いるか会」のシンボルも描かれています。

全国高校サッカー選手権大会の富山県大会。ベスト4を懸けた準々決勝は、今月30日(土)に行われます。高校生たちの熱き戦いに注目してください!
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