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【高校サッカー】繋ぐ、水高の魂

高校サッカー 2019/11/11
富山県の高校サッカーの頂点を決める戦いは、富山第一と水橋の伝統校同士の対決に。
両校が初めて決勝戦で顔を合わせたのは、昭和最後の選手権となった67回大会。
その後繰り広げられた平成時代の数々の名勝負。
そして迎えた令和最初の選手権、21度目の決勝での対戦となりました。



惜しくも敗れ、決勝の舞台で涙をのんだ水橋高校。
富山の伝統校・水橋高校は、今大会が高校の再編統合によって3学年が揃う最後の選手権となりました。
1983年の学校創立とともにサッカー部が創部。これまで3度の全国総体、全国選手権には6度出場しています。
6歳上の兄が水橋高校サッカー部出身だったということもあり、当時の水色のユニフォームやイルカがデザインされた練習着は小さな頃からよく目にしていて、わたしの中でも思い入れの強い高校。
初めて全国選手権を観に行ったのは、国立競技場での開幕戦に臨んだ水橋高校の試合。あの時の雰囲気は今でも鮮明に覚えています。



ことし4月15日に行われたミーティングでは、上田裕次監督は「SPECIAL ONE」という言葉をチームスローガンに据え、
3学年が揃う最後の1年でしかできないものを目指そうと新チームが動き始めました。

しかし、特別な1年間は苦しい船出となりました。
夏の県高校総体ではベスト8で敗退。年間を通して戦った県1部リーグでも簡単に失点をしてしまい、勝ち星や勝ち点を失う試合が多く、悔しい思いをしたと上田監督は話します。

試合では、水橋高校の一員として戦う姿勢・気持ちの部分を選手たちに強く求め、檄を飛ばすこともありました。多くの人から応援されるチームになるため、見ている人に夢を魅せることができるチームになるべく、選手たちに熱の入った指導を続けてきました。



「自分たちの弱い部分をまっすぐに見つめ直し、地道に努力を重ねてきた成果が選手権の舞台でようやく表れてきました」と嬉しそうな笑顔を見せながら上田監督が語ったのは、激戦を制した準決勝・龍谷富山との一戦の後。
2度のリードを追い付き、テクニカルなサッカーと水橋らしさを感じる豊富な運動量を見せ、延長戦で逆転。
中でも水橋が誇る⑧佐々康成と⑩笠原涼太の強力ドリブラーには彼らの一つのプレー、1つのタッチに観客席からも歓声が沸き起こるほど。
今大会13Gを挙げ、得点王に輝いた⑧佐々康成


「この選手権という大きな舞台で、克服した姿を応援してくださる皆さんに見せることができたらうれしいな」と話す上田監督の表情は、わが子の成長を喜ぶ親のようにも見えました。



67回大会で水橋が富山第一を決勝で破り、初めて全国選手権出場を決めた時と同じ、黄色と黒のユニフォームを身にまとい臨んだ決勝戦。
インターハイ準優勝の富山第一に一歩も引くことなく、開始早々から積極的なプレーを見せていた水橋イレブン。
敗れはしましたがその戦いぶりに、何かが起こるかもしれない・・と期待感を抱いた方も多かったのではないでしょうか。


正確な左足でチャンスを生み出した⑭久呂秀斗選手


そして、選手たちとともに選手権を戦い続けた応援席。
スタンドに掲げられたボードには、「常笑」の文字。この大会を勝ち進み、みんなで笑いたい。3年生マネージャー・武田ほのかさんが考え、保護者の皆さんとともに約1800羽もの折り鶴を作り、想いを表現しました。


「必笑」のスローガンを掲げて夏の大会でベスト4と躍進をみせた水橋高校野球部、そして初優勝を果たした時の水橋高校4期生のメンバーなど、決勝戦はいつにも増して大勢の人たちが詰めかけ、選手たちに声援を届けていました。
応援スタンドをずらりと埋め尽くす水色は、36年の歴史を持つ水橋高校がいかに多くの人たちから愛されているかを再び感じさせてくれたように思います。



その中でも、水色のメガホンを手にスタンドから一際大きな声を出し続けていたのはサッカー部員たち。
いまの2年生と1年生は再編統合が決まった後に水橋高校に入学を決めた生徒たちです。
春には水橋高校最後の1年生が入学し、25人の新入生がサッカー部の仲間に。
決して簡単な決断ではなかったと思います。
それでも、水橋のサッカーが好きだから。全国選手権でのプレーを観て憧れを抱いて・・と彼らもまた水橋高校を愛し、水橋のサッカーに魅了されて、その扉を開きました。

この日応援スタンドで感じた悔しさ、ピッチ上で溢れる先輩たちの悔し涙を彼らは忘れることはないと思います。
そしてSPECIAL ONEになるため、悩み苦しみ、そして確かな成長を遂げた3年生たち。
彼らがこの1年間で見せてくれた水橋の魂は、きっと後輩たちにも強く受け継がれているでしょう。



2年半後、その歴史に幕を下ろす水橋高校。
今の1年生が最終学年になり、水橋高校として最後の選手権に臨む時、高校サッカー選手権は節目の100回大会を迎えます。
来年、そして再来年。水橋高校がどんな未来を歩むのか、とても楽しみにしています。


卓越したドリブル技術を魅せた⑩笠原涼太


しかし、3年生にはまだやりのこしたことがあります!
水橋の選手たちは北信越プリンスリーグ昇格を懸け、プレーオフに挑みます。
初戦は17日、新潟県の日本文理高との一戦。プリンスリーグ昇格という置き土産を残すべく、水橋高校の挑戦に注目です。
  • ことばの泉
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