“転がる石は苔むさない”―ローリング・ストーンズの“持続力”

デビュー五十周年の今年、ローリング・ストーンズが久々にワールド・ツアーを行った。なんでも今回のライブは“気力と体力を考え”て、“少ない会場で、高い入場料”という方針だったようだ。確かにアメリカでの価格設定を見ると$150~$600という「!」な金額になっている。で、その高額な入場料に関してあるメンバーが『来られるファンだけ来てくれればいい』と言ったとか言わないとか、って実際言ったんですが―。
ここまで高額だとさすがにクレームが相次いだようで、ストーンズサイドは急遽$85の席も“抽選”で買えるようにしたようだが、こんな騒ぎも如何にもストーンズのツアーらしくてお祭り気分をあおってくれる。
だが、冷静になって考えてみると円安傾向の今、もし日本でライブが行われた場合の入場料を考えるとかなり不安ではある。とはいっても『もしかして最後かも!』という“決定的なフレーズ”には抗えるわけもなく、結局なんだかんだ言いながらも行ってしまうんだろうなあ、と。
ただ、その一方で心配なのがメンバーの体調だ。なにせミックが70歳でキースも12月で70歳、チャーリーは73歳、新メンバー(「新」といっても参加して三十七年も経っているが、古参のファンからしたら未だに「新メンバー」!)のロン・ウッドは66歳だ。
年齢を考えると、いくら回数を抑えたツアーとはいっても、果たして腰とか膝とか大丈夫なのか?、ヒアルロンサンとか飲んでいるのか?、ギターの重さで肩こりや頭痛にならないのか?、演奏後に湿布をしっかり貼っているのか、マッサージは呼んでいるのか?、セットリストの曲順の文字はちゃんと読めるのか?、演奏中のトイレはガマンできるのか?とか、それはもうファンだってかなりの人たちが60歳を越えていて身体のあちこちに問題が出てきているわけだが、本当に彼らの体調が気になる。
もっとも彼らにしたら、金だって使いきれないぐらいあるだろうし、ただただロック・ミュージシャンとしての本能でライブを演っているだけなのだろうが、とにかくファンとしてはホントに日程は休み休みでいいし、入場料も多少高くても他を我慢してでもライブには行くので、なんとか頑張って日本に来ていただきたいと、今はそれを願うだけで―。
それにしてもデビュー50年だ。昨年はビートルズがデビュー50周年を迎えて大きな話題になったが、この二大超大物グループの決定的な違いはローリング・ストーンズは今も“現役”ということに尽きる。
あのキャリアと年齢で“今も演っている”という現役感はすごい。それもワールド・ツアーだ。今回のライブ映像を観ても、ミックは相変わらず広いステージを駆けまわっているし、キースは腰を屈めた独特のポーズを随所に見せながら咥えタバコで不良オヤジよろしくニヤリと笑ってリフを決めているし、73歳のチャーリーはタイトなビートを叩き続けている。その変化のない表情は一瞬チャーリーそっくりのロボットではないかと思わなくもないが・・・。
とにかくこうして50年。彼らのハンパではない持続力にはただただ頭が下がる。
※次回に続く―。