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グッドミュージックをフルコーラスでお届けします♪音楽が一番輝いていたあのころに、青春を過ごした人そして、そんな時代の音楽が大好きな人へお届けする30分です。

竹中晃のコラム ポケットにいつも音楽を入れて -ロック・おやじのつぶやき-

ブリテッシュ・ロックの時代 ①

今月そして来月と、久々にブリテッシュ・ロックの特集をお送りしています。
<フリー>と、名盤特集<レッド・ツェペリンⅣ>はすでに放送しましたが、中休みを入れつつもまだまだ続けますのでどうかお楽しみください。
そんなわけで当コラムもブリテッシュ・ロックについて少々―。


 1960年後半、ロックといえば<ブリテッシュ・ロック>のことだった。
こう書くと「アメリカン・ロックも悪くなかったじゃないか!」という意見が飛んできそうなので言い直すと、“基本的に、六十年代後半のロックの主流はブリテッシュ・ロックだった”となる。

 確かにアメリカン・ロックにもドアーズやCCRことクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイバルなどのいいバンドがいた。CCRは当時も今も私は変わらず好きなのだが、あの時代のロックはやはりどう公平に見ても質量ともブリテッシュの優位は崩れない。
 もう、メンツがあまりにも盤石すぎる。

 ではなぜアメリカン・ロックが立ち遅れたのか、その流れをザックリ書き出すと、まず60年代前半にビートルズが登場したことでそれまでのアイドル・ポップスやサーフィン・ミュージックが一気に古いものになってしまったことが発端だった。

 簡単に言うと、当時のアメリカのポップ・シーンはやや飽和状態だったものの、アイドル・ポップスやサーフィン・ミュージックが全盛の時代だった。そんな時代にビートルズというイギリスのアイドル系のバンドが、いくら独創的なオリジナル曲とはいえ、50年代後半に流行したロックンロールという“古い”サウンドをベースにした曲を引っ下げて現われても、多くの音楽業界人が“あんなものアメリカで当たるわけがない”と高をくくっていた。が、結果はそうでは無かったわけで、いきなりファンの女の子は大騒ぎ、ヒットチャートは大混乱!という状況に陥った。

 そして状況はさらに進んだ。
 アイドル性とサウンドの革新性を併せ持ったビートルズのクオリティの高さにアメリカの音楽業界が唖然としている間にもローリング・ストーンズやアニマルズ、デイブ・クラーク5、キンクスなど、多くのイギリスのポップ・グループが続々とアメリカに上陸し、いわゆる<ブリテッシュ・インヴェイジョン>という現象を起こすまでになった。

 ちなみに、音楽大国のアメリカではこれまで自国の音楽シーンが他国の音楽に翻弄されることは一度もなかった。したがってイギリス勢によるアメリカへの上陸の衝撃が如何に大きかったか、そのへんは察するに余りある。

 しかしながらこうした状況に手をこまねいているアメリカ音楽産業ではなかった。
 さっそく業界のパワーを結集してビートルズに対抗すべく送り出したのがモンキーズだった。だが、誤算があった。モンキーズは“アイドル性だけのグループ”であり、残念ながら自らの手で革新的なサウンドを創りだす才能が無かった。
 そしてちょうどその頃、ビートルズはアイドルからロック・ミュージシャンへと、つまりモンキーズがシングル「恋の終列車」で華々しくデビューした時期にはすでに革新的なアルバム『リヴォルバー』をリリースしていたのだ。

 アメリカが生み出したロックンロールやリズム&ブルースをベースにして独創的なサウンドでデビューしたビートルズにフイを突かれ、慌てて強力な人気バンドを作りしたものの、そのとき当のビートルズは単なるポップ・グループとはまったく異なる創造的な音楽としての<ロックの地平>に立っていたわけで、まさにアメリカの音楽業界はこの時点で時代の変化にまるで付いて行くことが出来なかったのだ。

 そしてこの後、ビートルズが示した<ロックの世界>をさらに推し進めるように優れたバンドがイギリスから次々登場することになった。

 結局、この1966年の“時代感覚の認識の差”が、アメリカン・ロックの登場を70年代まで遅らせることになったといえる。

 しかしながら、アメリカにも優れた才能はいた。カリスマであるボブ・ディラン、そしてディランのサウンドをバンド的に展開したバーズやバッファロー・スプリングフィールド、さらにはイギリス勢と同じ視点でブルースのロック的表現を模索していたマイク・ブルームフィールド、そして前述したドアーズやCCR、チャート的にはモータウン勢がイギリス勢と対峙してもいた。

 だが、こう並べてみても、やはりアメリカ勢の分が悪い感じは否めない。さらに追い討ちをかけよう。ご存知のように、この後、70年代に向けて、イギリス勢はバンドの数もそのサウンドのクオリティも一気にヒート・アップする。

…次週へ続く。

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